楽に生きるために 大腸癌で父を亡くしました

令和に変わる前、父を大腸癌で亡くしました。看護師でありながら父の闘病中に多くの葛藤と悲しみを味わい、「生きる大変さ」を痛感した経験から「楽に生きる」ことを考えていきます

人工肛門のケアって大変?! 新たな戦いの始まりでした②

父の人工肛門の周りに膿んでる場所があり、毎日洗浄となり…
洗浄って、膿んだところを注射器みたいなので生理食塩水をピューっと圧力をかけて先生は洗っていました。
人工肛門の袋(装具といいます)を交換するタイミングで先生を呼んで洗浄してもらうのって、絶対に看護師さん達手間だったと思う…。

 

 

前回の内容はこちらをご参考ください

 

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 父を担当した看護さんたちの苦労はこんな感じだったと予測します。

 

  1. 先生といつ処置をするか時間を合わせる(これも気を使って大変)
  2. 先生が来るまでに装具を剥がし人工肛門周囲のシールのべとべとや便を洗い流して先生を待つ(逆に先生のことは待たせたくない)
  3. 先生がすっとくればいいけど来なければ待機。父もお腹をタオルで隠して待機(患者さんを待たせるのもいや)
  4. 先生の洗浄に付き添って終わったらもう一度きれいにして装具をくっつける(病院の中でケアする時って、人工肛門のサイズを測って、写真を撮って、装具に丸いシールみたいなのがついているのですがそれを測ったサイズに合わせて切って…。慣れている看護師さんだとしゅっと切れるけど、私はそのサイズ合わせに何回もやるから時間かかったな…(白目))
  5. うまく切れたらはっつける
  6. まあまあたくさんのごみを片付け(剥がした装具のシールにどれだけ便がしみてきているか測定して写真撮る模様)
  7. 装具を交換した時の状況や人工肛門のサイズ、皮膚の状態などなどカルテに記録

 

毎回毎日父一人のためにこんなに手間がかかって恐縮ものだったのに、なんと父の人工肛門に新たなるトラブルが。

 

…便もれするの( ;∀;)

 

  • 人工肛門によくあるトラブルが、人工肛門のシール部分のところに便が潜り込んだり、便でふやけてはがれてきて起こる便漏れ
  • 人工肛門周囲の皮膚に装具が合わなかったり、便が潜り込んだりして皮膚について荒れちゃったりする皮膚トラブル

 

父は皮膚トラブルちょっとあるかな…?くらいで済んだけど、なんと毎日、昼夜関わらず漏れよっていたのです…(; ・`д・´)!!!この頃の担当された看護師さん本当にありがとうございます!ちなみに私が夜勤に便漏れみつけると、うおおおおぉおおってショックが大きいです。やや、人工肛門のケアとにかく苦手なので…( ;∀;)

 

漏れてしまうと、どうして漏れたのか原因を看護師さんたちが相談して、原因をなくせそうな装具を用意してきてくれるのだけど…。

 

毎日面会に行くたびに装具が変わってたんですよね…( ;∀;)

最初はきれいな丸形でぺらぺら、ある日は楕円形になったり星形?になったり。さらに丸形に戻って厚みがあってベルトがつけられるもの。さらにさらにツーピースタイプと言って、シールと袋が分かれる装具に。時々アクセサリーと言って、粘土みたいなのをこねこねしていい感じに人工肛門の周りにくっつけてみたり。

人工肛門に詳しい看護師さんが多くいる病棟でしたが、やむを得ず「皮膚・排泄ケア認定看護師」さんという、要は人工肛門のエキスパートを毎度呼んできて相談してくださいましたが、父はなかなかの困難患者さんだったようで…。何度もお見かけしたなぁ。

 

私の少ない経験上、こんなに毎日装具変わる人見たことないべ?!!

この経験で私はこんなに装具ってあるんだなって勉強になったな…。

 

どうも父は人工肛門がお腹からあんまり出ておらず、装具の下に便がもぐりやすく、さらに寝たときはぺったんこだったお腹が座った時にぼんっと出て皺になった挙句、人工肛門の上に肉が乗っかって装具がずれやすいという厄介系だったようです。細いんですけどねぇ…。

 

お金ののことは改めて記事にしようと考えていますが、装具1枚1000円とか超えてくるものもあって、毎日交換となると1か月3万円?!装具の値段によってはどえらい出費になるんですよ…身体障害者手帳の申請でいくらかは返ってきますが3万円は確実に大幅オーバー!!装具だけじゃなくて、シールを剥がす除光液みたいなの(リムーバー)とか、人工肛門と装具の間にどうしてもできる隙間をふさぐパウダーとか、もろもろ消耗品もお金かかってくるし、そもそも医療費もあるでしょ、装具の値段聞いて、目ん玉飛び出るかと思った!

 

便漏れで夜に装具の交換になって父は寝不足になり、また装具の交換で体勢によっては痛みを訴えることがあったりで、なかなか大変な日々に戻っていき…。

いやいや、これで帰ってきても家でこの大暴れな人工肛門見れるのかい?母と私は不安でいっぱい。どの装具にするかも決まっておらず、業者さんに最初に頼んだものは使えず大量の在庫あまり。

 

先生と看護師さんたちが懸命に人工肛門をケアしてくださったおかげで、膿んだところも少しずつ良くなっていき、父の手術の傷も癒え、食事もとれるようになってきたため退院を考える時期になっていきました。体調もよさそうということで最初の化学療法を受けて帰ることに。

 

68歳と若く大腸がん以外に目立った病気もなさそう、あちこち転移があるためしっかりと効果のあるものをということで、FOLFOX+ベバシズマブというお薬の組み合わせが選ばれました。このお薬は中心静脈ポートを使用する薬剤だそうで、この時を見越して手術の時に一緒に埋め込んでくださったのです。

 

抗がん剤や吐き気止めなどをまるっと半日くらい投与して、終わったら携帯用ポンプに詰め込まれたお薬につなぎ変えます。お薬は風船に詰め込まれてしぼむ力を利用して体内に入ってきます。なくなるまで約72時間…だったかな、鎖骨の下の中心静脈ポートに刺さった針を抜いて終わりです。この次からは外来で日帰りで点滴を受けて、携帯用ポンプを持ち帰って家で針を抜くという流れになるそうです。針を抜く指導もしていただき、母は「無理!」と言っていましたが一応勉強して…。私が夜勤の日とか困るもんね…。

 

さて問題の人工肛門のほうですが、退院前々日にはなんとツーピースタイプで一番高価なものがお腹にくっついていました。それだけでもどきどきしていたのに、さらに指導されたのが、2,3時間ごとに袋を外して人工肛門のまわりに撥水性のあるパウダーを振ってくださいということでした。え、2,3時間おきに、自宅で?!袋の取り外しがなんかもううまくいかんし、夜もやるの???膿んだところに便が入らないようにという作戦のようですが、それはしんどい、明日退院だし私も仕事があるし…母にできる?

 

人工肛門を造ってご飯が食べられて、元気が出てきて化学療法に効果があって…。希望が見えかけていた退院後の生活、すでに暗雲垂れこめてきたぞ…。家に帰って母につたえるとわかりやすく落胆。

 

ただ、その翌日、退院予定の前日でしたが、看護師さんたちの間で一生懸命相談してくださって、毎日交換してしっかり洗っていく方法に決定しました。選ばれた装具はちょっと楕円で、シール部分が厚みがあってベルトをひっかけてお腹をしめるようにし、お腹の皺をぐっと抑え込む作戦だそうです。

 

そうして何とか父は退院を迎えることになりました。父の人生初の入院は約1か月間となり、残暑の中、秋の気を感じる9月の終わりになっていました。

 

続く

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