楽に生きるために 大腸癌で父を亡くしました

令和に変わる前、父を大腸癌で亡くしました。看護師でありながら父の闘病中に多くの葛藤と悲しみを味わい、「生きる大変さ」を痛感した経験から「楽に生きる」ことを考えていきます

父が大腸癌で手術をすることになりました でもそれは癌をとるためではありませんでした

 平成30年9月

 

大腸癌のステージⅣと診断され、告知された父は思うところもあったかと思いますが、痛みや便が出ないことの原因がわかり晴れ晴れとした表情にも見えました。

家に帰るのを目標に手術をしてもらうことにし、消化器内科で入院していましたが、消化器外科に変わることになりました。病棟も外科病棟にお引越ししました、今後この病棟は何度も父がお世話になる病棟になりました。

 

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外科の先生のお話を聞くために父と母、私の3人でお話を聞きに診察室に伺いました。

やはり大腸癌で肺や腹膜など遠くの内臓にも転移しており、ステージⅣと診断されること、まずは食事をとれるように人工肛門を造り便が出せるようにすること、そして化学療法をしていくことを話されました。大体同じようなことを消化器内科の先生もお話してくださったので、すぐに理解することができました。

 

父が座っていると痛むので体勢を何度も直している姿に気づいた外科の先生は「担当する先生がまた手術の詳しい説明をしますから、病室に戻って休みましょうか」と気遣ってくださって病室に戻りました。

 

入院してすぐに痛み止めのロキソニンを出してもらって1日3回を毎食後に飲んでいました。最初のうちは効いているようなことを言っていましたが、動くと痛みを訴えており、あまりしっかりと効果があるように感じませんでした。もっと強い薬、医療用の麻薬も使わせてもらった方がいいのかなと思いました。腰の骨に転移があります、骨の転移はとても痛いと聞きますし、そういった患者さんを何度も見てきました。

 

翌日、新たに主治医となってくれた先生から父と私は手術の詳しい方法と、今後の治療のメインとなる化学療法について説明してくださいました。その先生は、若い女性の先生でした。とてもはきはきとして元気で、声がかわいらしくて、とても患者さん想いの優しい先生でした。

 

手術について下のように説明されました。

  1. 転移がありすぎるので、すべての癌をとることはできない
  2. ので、大元の癌である大腸の癌もそのままにする(とっても意味がない)
  3. 癌と少し離れた問題のない腸を切ってそれをお腹の壁に持ち上げてきて人工肛門を造る
  4. 今後化学療法を行うために中心静脈ポートというものも一緒に造る
  5. 抗がん剤治療は、延命のために行う、いずれ効かなくなる、副作用で辛くなったり食べられなくなったりしてきたら変更する、どこかで終わりが来る 

 

手術は癌をとるためではなく、癌で便の通りが悪くなった状況を人工肛門を造ることで改善しようというものでした。また、中心静脈ポートという、鎖骨の下に点滴を入れるための駅みたいな人工物を埋め込むことにもなりました。今後行っていく化学療法のためにです。

 

大腸にある癌をとらないこと、化学療法もいずれは効かなくなる、終わりが来るというお話の内容が、遠回しにあまり長くは生きられないんだな…と言われているようで切なくなりました。父はどれほど理解できているのか…。

 

主治医になってくれた先生は、毎朝早くから様子を見に来てくださって、明るく話しかけ父もとても信頼していました。本当に元気で優しい先生でした。外科の先生ってちょっと怖い先生が多いイメージだったので、相談しやすく私も本当にありがたく思っていました。

 

手術を迎える前に追加の検査や麻酔をかけてくださる先生に受診したり準備を進めていきました。

人工肛門を造るのにストーマサイトマーキングって言って、お腹にマジックで落書き(失礼)されました。今のお腹撮っておこうねって、写真撮っておいたな。スマホの写真って大きい…汗

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ストーマサイトマーキングされた父のお腹

赤い点が実際に人工肛門を造る候補のところです。お腹の皺がなくてズボンをはいた時にあまり邪魔にならないとか、座った時に見えるかとか、人工肛門とお付き合いしていくのに最適なところを探すしてそこを目印に造られます。父は右上のところ(写真に向かって左上)に造ってもらいました。
 

 

そして、平成30年9月7日の夕方、父は手術を迎えました。

 

 

 

 

余談なのですが…

実は父、歯磨きを全然しない人で、68歳という若さで歯が下の歯2本しかなかったんですよね。まるで鬼っ子みたい。

麻酔は口から人工呼吸器につなぐチューブを入れる(挿管といいます)ので、口の中の状態を先生が見たがります。でも父は恥ずかしいので見せたくない…。手術の前の日は麻酔科の先生に見せて、手術室の看護師さんに見せて、救急救命士さんが挿管の実習をしたいということで見せてほしいということで見せて…。同じ日に3回も!あの時は笑ったな。

2本の歯をぐりぐり触られて「あ、意外に丈夫ですね」なんて言われて×3回、管入れるときに折れたり抜けたりすると危ないからさ、残念だったねお父さん。

観念した父の顔が今でも思い出されます。

 

 

続きます

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